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Aqours 2nd Live 神戸公演の私的印象

Aqours 2nd Live 神戸公演初日、「緊張感に欠けた」ようなミスが幾つかあったように思える。
そして今までの公演で生じたものとは、タイプが違う印象を受けた。


ライブツアーも残すところは埼玉のみとなった。そんなときだからこそ、今回はあえてステージ上のミスについて思うところを書いてみたい。

 

 

・コントロールできないミス、できるミス

私はステージ上で起こりうるそれについて、まず簡単にこの2つに分けている。
こういうと後者は矛盾しているように感じるかもしれないが、あくまで自身の能力でコントロールし得る範囲で生じたミス、ということだ。
単純にペーパーテストでいうと前者は純粋に問題が解けなかった場合のミス、後者はケアレスミスと考えてもらえたら良いかと思う。

人によっては前者のそれをミスということに疑問はあるかもしれないが、ステージ上ではその人の能力に関係なく最低限要求されるべきもの、即ち決まっている歌の音やダンスのフリがある。
それを達成できなかったとき、お客さんにはステージに上がる人間の能力は関係なく、あくまで失敗として認識されるのを忘れてはいけない。


思い返せばAqoursは、ある種の背伸びを要求された場面が印象に残っている。
メルパルクホールでは活動初期ということで、まだまだ歌もダンスも台本(今回においては楽譜や決まっている振り付け)通りのそれではなかった。しかしラブライブ!という枠では地続きということもあり、決して本人たちにとってもチュートリアルレベルのものではなかったように思える。
それからも曲数を含めて徐々に難易度がステップアップしていくステージ。彼女たちのステージが常に挑戦的だからこそ、我々はAqoursの成長と前進を、とても分かりやすく見ることができた。

そして辿り着いた1st Live、
各々のステージにとって、始まりの集大成だったと思う。そこでも、メンバーの果敢な姿を沢山見ることができた。
特に楽器をやってる人間としては、ピアノは気持ちだけではどうにもならないものだと痛いほど分かってるから、逢田さんの姿には本当に驚いた。


おそらくここまでで生じた失敗は、1st Liveの逢田さんの姿に象徴されるように、
自身の能力と届きたいパフォーマンスのギリギリの鬩ぎ合いで生じたものではないだろうか。
常に良い意味で身の丈以上の挑戦をしてしたからこそ生まれたミス、
つまり本人のキャパシティを超えるコントロール不能なミスだったと私は考えている。

それ故に物語として、今も当時届かなかった瞬間があったことがその克服と共にファンの間で語られてるのだろう。

 

では、今回の2nd Live 神戸公演を考えてみる。

あくまで個人の印象だが特にMCを中心に、今までよりも更にリラックスしているような印象を受けた。
キャスト同士の掛け合いも自由さが出ているというか、その場のアドリブ要素がいつも以上に強いと感じる場面も少なくなかった。

ダンスでも各々のアドリブやアレンジではないかと思える動き(それがどこまで本人の自由意志によるものかは分からないのだが)も増えていた。

そして今回のLiveで僅かに顔を出したミスもその延長線だったのではないかと思う。おそらく本人達にとってもリハではなんでもなかっただろうところでの思わぬ失敗だったのではないだろうか。
本当に他のことに、おそらく台本以外のことに、気を向けてしまったばかりに起こったミス。
1つ1つの行動にもっと集中して意識を割けば、今の彼女達なら防げるレベルのことだった。
らしからぬ姿に少々面喰らったファンもいるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、私はこれらのミスを目にしたとき、彼女たちの変わらぬ「挑戦」を確信した。

 

シンプルな話である。あんなにもストイックでプロ意識に溢れるAqoursが台本以外のところへより目を向け始めたのだ。

今回初披露の曲だって相変わらず歌もダンス難しい。
にも関わらず、Aqoursはそれをシナリオ通り達成するだけでは満足していないと私は感じた。
その場でやるべきと思ったことをやる発想力と行動力と大胆さ。そういったものをステージの節々から感じ取れた。

間違いなく彼女たちはステージの経験を、凄まじい速度で着実に積んできた。そして今、実力と経験を武器にそれまでの緊張から解放され、明らかにコントロールするステージの範囲が広がってきている。
舞台上でより自由に振る舞うには、ステージをより支配しないことには叶わない。
1st Liveから僅か半年前にして、そういったパフォーマンスの段階に入ってきていることに、
やはりAqoursは我々の想定の範疇に収まらないことを改めて強く認識するしかない。


しかし良い意味でまだ成長中でもあるのがAqoursだ。
緊張から今まで以上に自由になって、本番のステージ上で見えるようになった情報は少なくないだろう。その分、それらの情報をどう処理するか、苦戦することもあると思う。まだ全てに意識が届ききらない場面もあると思う。
これから先、彼女たちが完全にステージを掴んだ瞬間、何が起こるのか本当に楽しみだ。
私なんかでは到底想像できない、素敵なライブが待っているのだろう。

 

常に挑戦を前提とされた台本と戦ってきたAqoursがそれを乗り越え、
しかもその先で今までの壁に満足せず、更に我々を楽しませ自分たちも楽しむためのパフォーマンスを披露してきた。
やはりどこまでも圧倒的にプロなのだ。


1人のファンにとして、これほど嬉しいキャストの意識はない。